目次
はじめに
例えば印刷に関しての機械のスペック等の専門知識というのは、印刷会社にとっては必要になりますが、飲食店を営む会社にとっては特に役に立つものではないでしょう。
ですが、経理業務というのは、どの種類の会社でも必要になるものですので、就職に役立つ資格で1位というのもうなずけます。
今回は、実際に日商簿記検定2級に受験してみて、経営者の視点で、この資格がどのくらいの価値があるのかというのをレビューしてみたいと思います。
豆知識
ここで、少し面白いなと思ったことをシェアします。
私はTOEICの勉強のため、スタディサプリENGLISH TOEIC® L&R TEST対策コースのサブスクを契約しているのですが、そこで関先生という有名な講師の方で、簿記の語源について説明されていました。
英語でBookkeepingという単語がありますが、そのブッキーピングがボキにと読まれ、簿記となったという話をしておりました。
Wikipediaで検索すると、その真意はわかりかねるとのことですが、英単語の意味を覚えるには十分なインパクトがありました。
試験について
難易度
試験の詳細については、以下のサイトからご確認いただきたいですが、個人的に、暗記系の試験をきわめて苦手としているため、私個人の感想としては、難易度は高い方かと思いました。
まず、いくつかの資格試験では、たいてい解答を選択する問題となるわけですが、こちらの検定試験に関しては、解答は基本的に仕訳科目をドロップダウンで選択して、数値(金額)は自ら入力する形となります。
通常、4択問題などは、何も知らなくても25%は正解するため、100点あったら理論上、25点はとれるわけですが、仕訳科目と金額を確実に正解しないと得点にならないため、勘で解答しても0点という可能性が十分にありえます。
そういう意味で、だいたい8割方これが答えそうだなという感じの解答の仕方が通用しないため、正確に覚えないといけないという難しさがあると思いました。
受験のしやすさ
私はCBT方式で受験しました。
場所は全国にCBTで受験できる施設がいくつかあるので、好きな場所を選択できますし、日にちもある一定の期間を除き、予約のタイミングで空いている日にちを設定できますし、受験費用もそこまで高くない(2級で5,000円くらい)ということで、受験はしやすいと思います。
ただ、一般的なCBTと異なる点として、電卓が持ち込み可ということもあり、周りの電卓のはじく音が気になる人もいるかもしれません。
試験結果について
実は、恥ずかしながら、1回目で合格したわけではなく、3回受験して、3回目で合格しました。
合格ラインは70点になるわけですが、1回目、2回目ともに65点とまったく成長がない結果を経て、3回目でようやく72点を取得し、合格することができました。
合格すると、以下の合格証書をPDFで受け取ることができます。
勉強方法
まず、前提として、一応、経営者であるということ、また、中小企業診断士の1次試験で、財務・会計を合格したことがあることを踏まえて参考にしていただければと思います。
勉強ツール
基本的に以下のサイトの簿記2級用の書籍、「商業簿記」「工業簿記」2冊購入して、こちらの書籍のみで勉強しました。
各仕訳テーマに応じた教科書的な感じで、最後にそのテーマに応じた受験対策用の問題もついておりますので、充実した書籍なのだと思います。
イラストがかなり凝っていて、工夫されていましたが、個人的に、イラストや話し言葉などは効果的ではなかったです。
また、私は電子書籍で購入してしまいましたが、今考えると、実際の本を購入した方がよかったと思います。
問題に対する答えをいったり来たりするのに、スマホで操作する電子書籍だとやりづらくて仕方なかったです。
勉強時間
受験しようと思ったのが今年の1月頭で、2月中旬に1回目受験をして、最終的に3月中旬に合格しましたので、トータル期間は2か月くらいです。
最初の2,3週間くらいで上記の書籍の問題以外の部分をさらっと読んで、テーマごとの問題を平日の朝仕事が始まる前に30~40分くらい解いてみるといったスタイルでした。
ですので、トータル勉強時間は、30時間くらいでしょうか。
資格の価値について
結論としては、経理業務をどこでもできるスキルを学ぶという意味ではかなり価値が高いと感じました。
ただ、以下の点において、現在の経理業務とはかけ離れているということが挙げられます。
- 電卓は使わない
- 仕訳はAIが補助してくれる
- 会計ソフトによっては決算処理もサポートしてくれる
- 中小企業、特に小規模企業の実務で使わない仕訳が多数存在する
まず、基本的に仕訳は弊社の場合ですとマネーフォワードの会計ソフトを使用しておりますので、電卓は使わないですし、仕訳はAI機能で補助してくれます。
ですので、借方とか貸方などを意識する必要もなく仕訳はできます。
さすがに今は分かりますが、実際、2,3か月前の勉強し始めのときは、どっちが借方でどっちが貸方かよくわからない仕訳もありました。
あとは、実務で使わない仕訳に関して言いますと、大きいところとして、工業簿記を使わない企業ではこれをまったく使いませんので、それだけで必要な人は限られます。
また、株式の売り買い、連結決算の仕訳作業など、無縁の会社も多いと思います。
弊社の場合では、手形の取引もしておりませんので、当座預金も扱っておりません。
ただ、このくらい細かい知識を網羅的に、かつ、体系的に身に付けるという意味では、知っていて当たり前のような仕訳は知識として持っているだろうと考えると、価値が高いと考えます。
さいごに
いかがだったでしょうか。
簿記に関しては、専門学校でも行かない限り習うことがないため、そもそもよく知らなかったり、抵抗がある方も多いかもしれません。
ですが、仕訳作業はどんな会社でも必要なので、知っていて損はないかと思います。
簿記検定に関しては、2回も落ちた言い訳として捉えていただきたいですが、もっと実務に近い形に合わせて、実際の会計ソフトの扱いに準ずるような形式で試験問題が作られることが望ましいのではないかと考えました。
結局、手計算や紙ベースで仕訳ができたところで、実務では会計ソフト使って作業するわけですから、即戦力を求める中小企業としては、いかに会計ソフトでそれらの仕訳ができるかというところが重要ではないかと思います。
せめて、試験では電卓ではなく、Excel等の表計算ソフトくらいは使えてほしい気がします。
正直、普段文字を書かな過ぎて、メモに何を書いているのか自分でもわからなくなって困りました。